不倫慰謝料請求において後悔する事例

文責:所長 弁護士 石田俊太郎

最終更新日:2025年06月18日

1 不倫慰謝料請求に失敗してしまうケース

 不倫慰謝料の請求は、法律的な構成は比較的単純です。

 基本的には、不倫をした配偶者と不倫相手との間での不貞行為が存在し、不倫をされた側の平穏な夫婦生活を送る権利が侵害された、という要件を満たせば請求可能です。

 ただし、実務においては、実際に不倫慰謝料の請求をする前に、証拠集めや慰謝料の金額と費用の関係などを予め検討しておく必要があります。

 事前検討をしっかり行わないと、慰謝料請求に失敗してしまう可能性があるためです。

 代表的な例としては、①証拠が取得できず慰謝料請求が困難になる、②想定される不倫慰謝料よりも高い費用がかかる、③示談しても約束とおりに不倫慰謝料の支払いを受けられないというものが挙げられます。

 以下、それぞれについて詳しく説明します。

2 証拠が取得できず慰謝料請求が困難になる

 不倫慰謝料の請求は、あくまでも法律に則って進めていく必要があります。

 前提として、不貞行為の存在を客観的に証明できる証拠が必要です。

 しかし、十分な証拠が揃う前に、感情的になって先に慰謝料請求をしてしまったり、不倫相手と直接話してしまうと、証拠を隠されたり抹消されたりする可能性があります。

 その結果、証拠の収集ができなくなり、慰謝料の請求自体が困難になることがあります。

 まずは専門家に相談し、証拠をしっかり確保してから行動することが重要です。

3 想定される不倫慰謝料よりも高い費用がかかる

 弁護士に不倫慰謝料請求を依頼する場合、相談料や着手金、成功報酬、出張費または出廷費、実費などの費用が発生します。

 仮に相手から得られる慰謝料の金額が少額だった場合、費用の方が大きくなってしまうことがあります。

 不倫慰謝料には、事案に応じた相場が存在しますので、事前に想定される慰謝料の金額を確認してから、請求をするか否かを決めることをおすすめします。

4 示談しても約束とおりに不倫慰謝料の支払いを受けられない

 示談書を作成したにもかかわらず、相手が約束とおりに慰謝料を支払わないということもあり得ます。

 このような場合、基本的には訴訟を提起して勝訴判決を得たうえで、相手の給与や預貯金などの差押えをせざるを得ません。

 示談書を強制執行認諾文言付きの公正証書として作成している場合、訴訟を提起することなく強制執行を行うことが可能です。

 不倫慰謝料の未払いを続けた場合に起きることについてまとめておりますので、こちらも参考にご覧ください。

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